結願祭
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南の島で今も受け継がれる古の祭
八重山諸島にある小浜島(こはまじま)、国の重要無形民俗文化財に指定された、 年に一度行われる「結願祭」(しちい)
「結願祭」
その年の豊作への感謝と翌年の五穀豊穣、無病息災を祈願する伝統行事で小浜島最大の祭りです。毎年旧暦8月の己亥(つちのとゐ)の日から庚子(かのえね)、辛丑(かのとうし)の 3日間、北と南の二つの集落に分かれて、数多くの芸能が神へ奉納されます。
初日:スクミ(リハーサル)から始まり、季節の改まりを祝い、神司による住民の健康、除災招福を祈願する。
2日目:正日(ショーニチ)と呼び、嘉保根御嶽(カフニワン)で多彩な奉納芸能が行われる。
3日目:南北各村でトンドミ(打ち止め)が行われる。
祭りのメインとなる2日目の正日では、北村の弥勒(メーラク)、南村の福禄寿(フクルクジュ)が人々を引き連れて集落内を練り歩き、普段は島民の方でも立ち入る事が出来ない、
島の中央に位置する神聖な嘉保根御嶽へ到着したのち、子供達や着飾った島民と共にザー(神庭)を一周するザーマーリィ(座廻り)から結願祭が始まります。
三線の音色や演舞には、マイクや音響は一切使わず、観客のざわめきや演者の息づかいを肌で感じ、古くからの手法も今の時代には新鮮に感じます。
ザーマーリィに続き、棒術が奉納されると、約40分でザーに舞台が作られます。
舞台では獅子舞、棒術、民俗舞踊など次々と狂言や舞踊が奉納され、初番狂言の「祝儀(シュンギン)」や上布の製作工程を表現する「苧引き(ブーピキ)」、高い鼻の黒いお面に独特な動きをする「ダートゥーダー」など、小浜島ならではの演目は、訪れた人々を魅了します。
結願祭を含む小浜島の芸能は2007年3月に国の重要無形民俗文化財に指定されており、小さな南の島に、歴史ある伝統的な祭りを一目見ようと、県内外から観光客も多く訪れます。
里帰りをした島出身者も参加し、島民が一体となってつくり上げる祭りは、先人から引き継ぎ、未来へ繋いでいきたい、日本を代表する祭りの1つと言えるのではないでしょうか。
小浜島について
人口約700人が暮らす小浜島は、石垣島と西表島(いりおもてじま)のほぼ中間に位置しており、透明度が高いコバルトブルーの海は、サンゴ礁地帯が国内最大と言われています。
周囲約16.5kmの島に信号機やスーパーはなく、マングローブ林やどこまでも広がるサトウキビ畑には、今もなお沖縄の原風景が残されています。
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写真提供:竹澤 雅文 ライター:小林 有紀