港から鉦の音と声援が響き渡る伝統行事「ハーリー」
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沖縄では、5月上旬に港各地から甲高い鉦の音が鳴り響きます。沖縄の伝統行事ハーリーとは、沖縄各地の港で行われる爬龍船(はりゅうせん)と呼ばれる船で競漕する行事です。
ハーリーには航海の安全や豊漁を祈願する意味がこめられた海の神事であり、旧暦の5月4日に行われることが多いですが、最近ではGWに合わせたり、旧暦7月のお盆前後にある海神祭などの行事で爬龍船競漕を行ったりと、地域によって開催日は異なります。
このハーリーが沖縄に伝わったのは琉球王国時代ですが、ハーリーの起源はさらに古く、その歴史は紀元前にまで遡ります。
中国が当時「楚」と呼ばれた国だった時代。屈原(くつげん)と呼ばれる人物が国から追放され、悲しみから命を絶ち、その死を悼み悲しんだ民衆により始まった慰霊の行事が爬龍船競漕でした。そこから沖縄に伝来したのは諸説ありますが、琉球王国時代には、首里城にある龍潭池で中国から来た冊封使をもてなすために爬竜船競漕が行われていたと言われています。
その後は廃藩置県によりハーリーは禁止され、1928年を最後に一度途絶えてしまいましたが、戦後に各地で復活していきました。1975年に復活した那覇ハーリーは当時の沖縄最大の規模を誇る行事だったそうです。
今でも活気にあふれるハーリーは、鉦の音が響き渡ると梅雨が明け、夏が始まると言われており、伝統的な「御願バーリー」をはじめ「職域ハーリー」や「転覆ハーリー」など種類は様々です。数十名で協力して船を漕ぐ真剣勝負に声援をかけながら、活気あふれる会場で夏の訪れを感じてみてはいかがでしょうか。