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投稿日:2024/10/02

琉球ガラス

  • 宮古島

現在の琉球ガラスは、原料や技法も格段に進化を遂げ、平成10年には沖縄県の伝統工芸品に認定されました。しかしその歴史は今から100年以上も前、明治時代中期に始まったとされています。

琉球ガラスの歴史

琉球ガラスの歴史は、今から100年以上前、明治時代中期に始まったとされています。当時、大阪や長崎からやってきたガラス職人によって製造が始まり、現在の奥武山公園や那覇市の西町近辺で主にランプのホヤや漬物、駄菓子を入れるための瓶が作られていました。しかし、第二次世界大戦の影響で、これらのガラス工房は壊滅的な被害を受けることになります。
戦後1947年頃、那覇市与儀でガラス製造が再開され、駐留米軍をはじめとする軍関係者を中心に、日用品やお土産としての需要が高まります。ところが、戦時中の空襲によりガラスの原材料が不足していたため、職人たちは米軍施設で廃棄されていたお酒やジュースの空き瓶を砕いて溶かし、再生ガラスを原料として使用しました。
この再生ガラスを使った製造の過程で、本来ならば不良品とされる「気泡」や「厚み」などの特徴が、アメリカ人の好みに合う「素朴で一風変わったデザイン」として受け入れられました。これが、沖縄独自のガラス文化が形成されるきっかけとなりました。
琉球ガラスはその後、原材料や技法の進化を遂げ、平成10年(1998年)には沖縄県の伝統工芸品に認定されました。今日では、沖縄を代表する伝統工芸品として、また日常に溶け込む芸術品として、沖縄とともに発展し続けています。

素材・色について

「ソーダ石灰ガラス」である琉球ガラスは、「珪砂(けいしゃ)」と呼ばれる砂を主原料に、「ソーダ灰」や「石灰」などを調合して作られています。さらに、製造工程でできるガラス・カレット(ガラスの断片)も、大切な原料の一つとして、調合した原料と混ぜ合わせて再生利用しています。
熔解窯の坩堝(るつぼ)の中に投入された原料は、1,400℃の高熱で一晩かけて完全に熔解され、ガラスの素地となります。この後、素地を必要なかたちに成型するとガラス製品になります。
琉球ガラスの基本の色は、オレンジ・茶・緑・水色・青・紫の6色です。基本の色以外にも、調合によりピンクや黄色、黒など、濃淡を含め、様々な色を作ることができます。昔は、コーラやジュースの空き瓶を溶かして瓶の色をそのまま利用していましたが、現在では、基本となる3種類の原料に、着色剤を調合して、沖縄をイメージした鮮やかな色彩を生み出しています。どんな再生ガラスを用いるかで、仕上がりの色が異なるのも琉球ガラスの楽しさです。最近では、着色剤を使用することも増え、より色彩豊かな琉球ガラスが作られています。

製造方法について

琉球ガラスの製造方法には、以下の二通りがあります。
■宙吹き法
宙吹き法は、高温で溶かしたガラスを「吹き竿」と呼ばれる筒状の道具に巻き取り、その後、息を吹き込んでガラスを膨らませる方法です。この技法は、ガラス工芸品の製造方法として広く知られており、多くの人がイメージするガラス作りの姿です。
■型吹き法
型吹き法は、吹き竿で巻き取ったガラスを石膏や金属で作られた型に入れ、息を吹き込んで膨らませ、型通りの形を作る方法です。この技法は、同じ形状のグラスや瓶などを大量生産したい場合に適しています。

琉球ガラスの泡について

琉球ガラスの特徴的な「泡」は、ガラスの素地に炭酸水素ナトリウム(重曹)を加え、撹拌することで生まれます。これにより、無数の細かい気泡が現れ、光を乱反射してガラスが白く見える効果を生み出します。窯の中で時間が経つと、炭酸飲料のように泡は少しずつ薄くなっていきます。
泡ガラスは、器全体の彩りを引き立てるだけでなく、透明なガラスの上にデザインのアクセントとしても多く使われます。この気泡がもたらす柔らかな印象は、暖かさや安心感を与え、琉球ガラスの大きな特徴の一つとなっています。
本来、ガラス製品に気泡があると不良品とされがちですが、琉球ガラスではこの気泡が独特の魅力となり、作品に味わい深さを与えます。気泡は、再生ガラスを作る過程で自然に生じることが多いですが、技術的に意図的に気泡を生じさせることもあります。特に、沖縄の青い海を彷彿とさせる気泡は、琉球ガラスに欠かせない要素となっています。

琉球ガラスは、その特徴的な気泡や鮮やかな色彩、そして温もりのある形状が魅力です。その見た目は、まるで沖縄の美しい海や豊かな自然を映し出しているかのようです。また、同じ職人や製造方法で作られたものであっても、全く同じものは存在しません。世界に一つだけの琉球ガラス。あなただけの特別な一点物を、ぜひ手に取って感じてみてはいかがでしょうか。

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